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本願寺教団は何をすべきか

安芸ねっとをご覧ください。

 前年同様、平成16年(2004年)12月20日に、安芸教区指導による安芸教区広陵東組僧侶研修会が広島別院で開催されました。今年の安芸教区からの出向者は、篠原典祐氏、圓山龍渓氏と安芸教区基推委相談員の斉藤英明氏でした。教区からの出向者は、どういう資格・手続きでいらしたのか不明です。宗門の例によってデタラメです。広陵東組は、寺族研修案内状事件を抱えており、池谷亮真広島別院輪番・安芸教区教務所長・安芸教区基推委会長と沖和史同朋三者懇部長のお二人に出向していただきたいと思うのですが。

 広陵東組選出安芸教区基推委同朋委員高橋哲了は、研修のねらいの説明で、前回の僧侶研修会(平成15年(2003年)12月3日)同様、平成15年(2003年)3月12日(水)の広陵東組基推委寺族部(部長(当時)法山総貫)主催の寺族研修会の案内状(文書名義寺族部長法山総貫、執筆者武田勝道)が「差別」文書か否かを、再び今回の研修会で討議するよう要望した。

 安芸教区基幹運動推進委員会同朋部僧侶研修部会編の資料について、瑣末的なミスは別として、本質的な部分について随分批判がありました。
 教区の委員は組長が選んでいます。その組長の選ばれ方が、Web site「安芸ねっと」の「なぜルール(組規程)をつくらないのか?」で述べたようにデタラメですから、組長が選ぶ教区の委員に人材が供給されません。私が観察するところでも、宗門に良質な人材はそれなりにありますが、本山にも教区にもシャットアウトされています。
 宗門になぜ良質な人材が存在し得るか。世襲制には欠点も多いのですが、浄土真宗は世襲ですから、世襲でなければ確保できない良質な人材がある程度確保されています。はやりでない(脚光を浴びず人材を惹きつける魅力のない)どの分野でも同じだと思われます。明治維新の廃仏毀釈の嵐の中を、はやりでない仏教の浄土真宗が生き抜けたのは、世襲制だったからです。世襲制でなかった仏教各派は、奈良興福寺の五重塔の運命(5円あるいは50円)でした。

 優秀な人材が確保されるという世襲制の長所は、現に世襲制をとっているのであるから、最大限に生かさなければなりません。大谷光瑞(おおたに こうずい)第22代門主は、当時の強大な門主権力を使い末寺の人材を吸い上げ使い捨てました。使い捨ては、権力者の暗面ともいえますが、広く能力のある者にチャンスを与えるという点では生まれながらの権力者にしかできない芸当であり、生まれながらの権力者が下々の支持を受ける要因でもあります。大谷光照前門主も、父親(大谷光明―大谷光瑞第22代門主の弟、妻は光瑞の妻籌子(かずこ)(九条道孝公爵の娘、大正天皇の貞明皇后の姉)の妹で貞明皇后の妹)が門主であれば違ったでしょうが、父親が大谷光瑞第22代門主に遠慮されて門主になられなかったので、傍系の劣等感を持ち続けられたと思われます。天皇でも、江戸時代末期の光格天皇(孝明天皇の祖父)にその例がみられます。それらの特徴は、外形である儀礼を非常に重んじ、涙ぐましいほどに、外見的に門主(あるいは天皇)たらんと努力することです。大谷光照前門主の儀礼好きも徹底したものだったようですが、光格天皇の儀礼好きは大変なものでした。また、実父閑院宮典仁親王に対して太上天皇(上皇)の尊号を送ろうとした尊号事件は、劣等感を持つ者の典型的な行動です。もっとも、歴史の面白いところですが、光格天皇の場合は、幕末の尊王者の天皇崇拝に寄与したと思われます。
 本願寺教団が大谷家の門主制度を存置するのであれば、大谷光瑞門主のような行動を期待するか、象徴門主の道しかないと思います。
 組(そ)の民主化なくして、宗門の民主化はありません。組規程の制定猟官制(スポイルズシステム spoils system)の導入が宗門の維持発展の決め手です。それと、玉手箱を認めながら、門主の無答責というような詭弁は即刻改善すべきです。無答責は、統治しないという制度の優雅な別名です。宗門政治に関与して無答責を主張できません。

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 安芸教区広陵東組同朋運動推進僧侶研修会(平成16年(2004年)12月20日於広島別院大会議室)について記録しておきます。

 事前のお願いとして、「内容が話し合いのポイントから外れだしたら、司会者において修正をお願いします。」、「おとなしい方や女性・衆徒の意見も積極的に出せるよう配慮をおねがいします。」などを留意するよう求められた。武田勝道は、教区出向者に、発言を封ずる意図か尋ねた。ことさら女性に配慮とはどういう意味か、女性差別あるいは蔑視ではないかと尋ねた。安芸教区基推委相談員斉藤英明は、発言を封ずる意味はない、自由に発言し話し合ってもらいたい旨答えた。
 武田勝道は、広陵東組組長中川英尚・教区からの出向者篠原典祐・宗藤芳丸・三光清子・田中晃敬のグループ(第4班)に入った。
 安芸教区基幹運動推進委員会同朋部僧侶研修部会編の資料6ページに次のように話し合いのポイントが書かれていた。

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◇今年度の僧研について(話し合いのポイント) 
教区共通テーマ「御同朋の社会をめざして」
現実を直視し信心の社会性を問いつづけ、同朋運動を推進しよう
―差別・被差別の事実から、私と教団の差別の体質を改める実践を―
 サブテーマ ~さらに身近な問題を考えてみよう~

昨年度を集約した中から
1.「穢れ、性の問題」について
穢れ……その源と歴史的背景
迷信、習俗の現場……祭り、神楽、差別意識との関係
寺院の中における男女のあつかいに違いはあるのか

2.「法名」の本来化について
・「本来化」とは何を意味するのか
差別法名、差別墓石、過去帳調査において指摘されたこと
・現実はどうなっているだろうか
住職の姿勢と地域習慣とのぶつかり(二字法名以外)
・「過去帳閲覧禁止措置」の目的は何であったか

3. 僧研のねがい
・どうして、同じ親鸞聖人の教えを聞いているお坊さんが差別をするのですか
・どうして、過去に差別したまま放置してきたのですか
・どうして、今でも教団内に差別事件が起こるのですか
・どうして、過去帳を前にして互いに話ができないのですか
という被差別の門徒さんからの問いかけをどのように受け止めるのか
(安芸教区基推委作成資料6ページ)
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以下、第4班の討議内容のあらましである。
1.「穢れ、性の問題」について
 資料作成者は、「穢れ」を部落差別の原因としたいのでしょうか。また、「穢れ」を神道の根本概念としているようですが、では、日本から神道が消滅しなければ部落差別が解消されないことになります。宗教多元主義の現代に、他の宗教を否定せず共存を図ろうとしている現代に、資料作成者は、神道に対して宗教戦争を起こし神道を根絶、根切りして部落差別を解消しようとしているのでしょうか。そうでなければ、このような考えは、被差別部落は解消できないといっているのと同じです。
 性の問題について議論しました。「寺院の中における男女のあつかい」とは、何を意味するのか。質問がありました。葬儀や法事で、坊守(女)でもよろしいかと門徒に確認するのは女性差別ではないかということだそうです。住職の子供がお参りするときも尋ねるのではないか。また、次男以下の場合も同様ではないか。門徒が、自分が格落ちに見られたのではないかと不満を持つということで、女差別というだけの問題ではない。次男以下が住職手続をするとき、年長男子兄弟の同意書(実印押印)を本山が要求するのも、宗門の偽善体質をあらわしている。
 法名に、釋尼と書くことが女性差別か。本願寺が法名を付けるとき、俗名を書かない。誰の法名か分からなくなるのが現実です。鉛筆で裏に俗名が書かれるようですが、宗門のゴマカシ体質をあらわしています。鉛筆ででも俗名を書いてはならないはずです。尼を付けるのが女性差別であるなら、女がズボンをはくか、男がスカートはくかして衣服を同じにすべきでしょう。もっと徹底的に、女が子宮を取ってペニスを付けるか、男がペニスを取って子宮を付けるか、あるいは双方がそれぞれ子宮とペニスを切除しなければ平等にならないでしょう。いずれにせよ肉体を同じにしなければ男女平等は実現しない。(八木秀次「嘘から始まったジェンダーフリー」(「正論2005年(平成17年)2月号」所収)を参照)それとも、平等という観念には、同じでない、平等にはなり得ない、ということが、隠された前提になっているのでしょうか。
 他の宗教との関係をどうするかということですが、他宗教の葬儀に出席して、その宗教(宗派)を侮蔑することが許されるのでしょうか。他の宗教に敬意をはらわず、葬儀の雰囲気をぶち壊せというのでしょうか。神式やキリスト教式の葬儀に出席すれば、念仏を声を出さずに称えて合掌するのが一番良いのではないでしょうか。 

2.「法名」の本来化について
3. 僧研のねがい
 「「法名」の本来化について」「僧研のねがい」は、とくに重なるところが大であるので、一緒に論じます。
 本来化とはどういう意味かと質問がなされました。教区出向者の説明によると、差別のない法名が本来化ということだそうです。まず、2字法名が差別のない法名とされています。しかし、私たちが毎日拝読する「阿弥陀経」のはじめに仏弟子の人名が並びます。16人のうち2字漢字は1人のみです。現在外国人が帰教式や得度をする時も、漢字の2字で法名を付けているようですが、正依の経典である「阿弥陀経」の記述を否定する命名法を本来化というのは無理があるのではないでしょうか。英語やハングル(仮に、ハングルが、漢字を前提としないとして)の名前の人々には、中国で仏典を中国語に翻訳する時、音写で漢字をあてたように、2字以上の漢字を使用することを否定する理由はないと考えます。形式的に2字漢字が平等であるというのは、理解に苦しみます。
 過去帳閲覧禁止措置のおかげで、過去帳を税務署に見せなくてすむのでよいという発言を教区の委員は批判しているようである。批判は分からなくもないが、一つの行為が、いくつかの効果を持つのは普通のことです。税務署に見せなくてすむという結果が生じる事実をただ黙らせようとすることは偽善であるといわざるを得ません。
 過去帳に関して、その書き換えを求めるようであるが、歴史資料を改ざんする考えは危険ではないでしょうか。それと、基幹運動の闘士がいうように不当に差別する心および行為がなくなり得るものとして、なくなれば書き換える必要はないでしょう。
 「親鸞聖人の教えを聞いているお坊さんが差別をするのですか」という問いかけは、間違っているのではないでしょうか。聞薫習(もんくんじゅう)という言葉があります。浄土真宗の信心は、進行形ではないかという疑問が提出されました。
 「信心の社会性」の言葉も同じ文脈の言葉です。「社会→信心」のベクトルと「信心→社会」のベクトルがあります。基幹運動では、「社会→信心」のベクトルで使用されているように思われます。社会倫理を、教義と関係なく信心の内容にしている。社会倫理が即信心の内容というのであれば、宗教ではない。「信心→社会」のベクトルで理解している人がいるとすれば、宗教が人間の内面と外面の双方を規律する原理主義である。
 死んだ時がお浄土という浄土教の教えは、深い人間洞察を踏まえている。

以下、すべき実践を武田勝道が個人的に提案したいと思います。
①差別問題の告発は、匿名でしてはならない。匿名では、自由な差別問題についての議論ができない。
②寺院住職であったり、その寺院が学校・幼稚園・保育園あるいは老人ホームを経営している場合(別法人であっても)、能力不足や人格低劣を除き、その者が一般的職員のレベルを超える場合は、被差別部落出身者や在日朝鮮人を1名、寺院や学校・園・ホームで雇用する。これによって、被差別部落出身者や在日朝鮮人にチャンスを与えることができる。宗門僧侶が、差別された人々と実生活で現実に接触し、社会との接点に自己をおくことにより、空理空論から解放される。(一人雇用運動)

また、宗門組織については
①総長選出方法を変更する。
本人が立候補するか、20人の僧侶が本人の同意を得て推薦する。それを、宗会議員が選挙し、3人にしぼる。門主が、その3人の中から総長を任命する(完全な象徴門主制が実現すると、門主が総長選出に関与することはなくなる。)。玉手箱参照
スポイルズ・システム(猟官制)を実施する。
③組(そ)に組規程・選挙規程の制定を義務付ける。
これで、宗門は劇的に変革されると考えます。

僧侶研修会参加者(当日配布された班別討議の編成表による(松尾淳成が作成したと思われる))
第1班 永浦健児(万徳寺)、松尾淳成(専立寺)、井上正晃(正光寺)、武田秀道(誓立寺)、尼子成爾(教伝寺)、原田真澄(法明寺)
第2班 碓井真行(光明寺)、法山総貫(妙蓮寺)、長門義碩(海宝寺)、古川知行(善通寺)、永光至邦(永光寺)、岡部哲信(報徳寺)  (安芸教区出向者圓山龍渓が出席)
第3班 上園恵水(浄円寺)、久保田孝誓(報恩寺)、築田哲雄(法光寺)、友国義信(善德寺)、潤居秀顕(順教寺)、乗元善昭(善教寺)、松尾俊治(微妙寺)
第4班 三光清子(三光寺)、藤沢正志(専光寺)(欠席)、宗藤芳丸(昭法寺)、田中晃敬(進徳寺)、武田勝道(教西寺)、中川英尚(浄光寺)  (安芸教区出向者篠原典祐が出席)
                         (平成17年(2005年)1月2日武田勝道記)


【関連サイト】
安芸ねっと
BBS安芸ねっとpureland
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blog安芸ねっとwebry(その他のイシュー)
by IDpureland | 2005-01-02 07:02
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